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GNUのtextutils付属のsortコマンドのマニュアル。
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SORT(1) SORT(1)
名前
sort - テキストファイルをソートする
書式
sort [-cm] [-bdfginruzM] [+POS1[-POS2] [-o OUTFILE] [-t
SEPARATOR] [-k POS1[,POS2] [-T TEMPDIR] [FILE...]
sort [--help] [--version]
説明
sort は与えられた各 FILE をソート・マージ・比較する。結 果
は結合されて標準出力に書き出される。 FILE が一つも与えられ
ないと標準入力から読み込む。また FILE が `-' だった場合 に
は、そのファイルには標準入力が用いられる。
GNU sort は (他の GNU ユーティリティと同じく) 入力ファイル
の行の長さや、行あたりのバイト数に制限はない。また入力ファ
イルの最後が改行でなければ、 sort は黙って改行を一つ追加す
る。
エラーが起こると、 sort はステータス 2 で終了する。
環境変数 TMPDIR が設定されていると、 sort は一時ファイルの
置き場所として、デフォルトの /tmp の代わりにそのディレクト
リを用いる。オプション -T TEMPDIR でも一時ファイルを 置 く
ディレクトリを指定できる。オプションは環境変数より優先され
る。
-k や + オプションでのソートフィールドの場所指定 は、 F.C
と いう形式で行う。ここで F は用いるフィールドの番号で、 C
は先頭の文字の番号を、そのフィールドの先頭 (+POS の 場 合)
あ るいは直前のフィールドの末尾 (-POS の場合) から数えた数
字である。 -b オプションが指定されると、フィールド指 定 の
.C の部分は、そのフィールドの空白でない最初の文字 (+POS の
場合) あるいは直前のフィールドの末尾以降の空白でない最初の
文字 (-POS の場合) から数えられる。
ソートキーのオプションには、出力順序のオプションを追加する
こともでき、その場合はグローバルな順序オプショ ン は そ の
フィールドには用いられない。 -b オプションはフィールド指定
の +POS と -POS のどちらか片方にも、あるいは両方にも、独立
に効力を及ぼすことができる。 -b がグローバルなオプションか
ら継承されたものである場合は、両方に影響する。キーは複数の
フィールドにまたがってもかまわない。
行のペアは以下のように比較される。キーフィールドが指定され
ている場合は、 sort は順序オプション (ordering option) に
よってコマンドラインから指定された順に、それぞれの行からの
各フィールドを比較する。比較動作は違いを発見するか全 て の
フィールドを尽くすまで継続される。
グローバルオプションの `-bdfinrM' のいずれかが指定されてお
り、キーフィールドが一つも指定されていない場合は、 sort は
行全体をグローバルオプションに従って比較する。
最後に、全てのキーが等しい (あるいは順序オプションがまった
く指定されなかった) 場合には、 sort は最終手段として、行を
LC_COLLATE ではなくマシンの照合順序にしたがって 1 バイトず
つ比較する。この最終手段の比較は -r オプションに従う。 -s
オ プション (stable オプション) は、この最終手段比較を無効
にし、全てのフィールドの比較結果が同じだった行の順序を、入
力 の 順序のままにする。フィールドやグローバルオプションが
まったく指定されなかった場合は、 -s オプションは無視 さ れ
る。
オプション
動作モード
sort のデフォルトの動作はソート動作である。これは以下のオ
プションによって変更できる。
-c -c 与えられたファイルがすでにソートされているかどう
か をチェックする。ソートされていないものがあった場
合は、エラーメッセージを表示してステータス 1 で終了
する。それ以外の場合は正常終了する。
-m 与 え られたファイル群をまとめてソートしてマージす
る。入力ファイルは事前にそれぞれソートされていな け
れ ばならない。マージ動作ではなく、ソート動作を複数
ファイルにまとめて行うこともできる。マージ動作が 提
供 されているのは、 (これでよい場合は) こちらの方が
高速だからである。
出力順序オプション
以下のオプションは、 sort が行を出力する順序に影響する。こ
れらはグローバルにも、あるいは特定のキーフィールドの一部と
しても指定できる。キーフィールドが指定されなければ、グロー
バルオプションで行全体が比較される。キーフィールド指定がさ
れた場合、順序オプションが特に指定されなかったフィールドに
は、グローバルオプションが継承される。
-b 各行の比較の際に、行頭の空白を無視する。
-d 「電話帳」順でソートする。アルファベット、数字、空
白以外のキャラクタをすべて無視してソートする。
-f ソートの際に、小文字を対応する大文字と同じに扱 う。
例えば `b' は `B' と同じとみなされる。
-g strtod(3) を 用いて数値に変換した後、その数値順に
ソートする。これを用いると、浮動小数点の理工学的 な
記 法 (`1.0e-34' や `10e100' など) を扱うことができ
る。このオプションは、他に手段がない場合に限って 用
い ること。これは -n よりずっと遅いし、有効桁数が多
すぎると、丸めたかたちで比較されてしまう。さら に、
倍精度浮動小数点の範囲で扱えない数値は 0 であるかの
ように処理される。またオーバーフロー・ア ン ダー フ
ロー・変換エラーは報告されない。
-i 印字可能でない文字を無視する。
-n 数値順に評価する。行先頭の文字列 (空白が前置されて
いても良い) を数値文字列として比較する。数値文字 列
は、先頭の - 符号 (なくても良い)、 0 桁以上の数字、
そして小数点と 0 桁以上の数字 (なくても良い) からな
る。
sort は浮動小数点表記文字列を、あまり普通でない方法
で比較する。まず各文字を C の double 方に変換してか
ら それらの値を比較するのではなく、 2つの文字の基数
点 (radix point) を揃えて、1 文字づつ比較するのであ
る。 この方法の利点は速度である。実際この方法は、 2
つのそれぞれの文字列を double に変換してから比較 す
るよりずっと速い (あるいは integer 変換に比べてすら
ずっと速い)。また精度の問題も生じない。多くのシステ
ム では、文字列を double に変換してから比較する方法
では、精度は 16 桁に制限されてしまう。
先頭の `+' や指数表記は認識できない。このような文字
列を数値的に比較するには -g を用いること。
-r 比 較 の結果を逆順にする。より大きなキー値を持つ行
が、より早く現われるようになる。
-M 行頭の空白文字をすべて無視して最初に現われた 3 文字
を、 月の名称の省略形とみなして `JAN' < `FEB' < ...
< `DEC' の順でソートする。小文字は大文字と同じに 扱
わ れる。月の名称にない文字列は、より低位であるとみ
なされる。
その他のオプション
+POS1[-POS2]
ソートフィールド指定の obosolete な古い形式。 行 の
POS1 から POS2 の直前までのフィールドを指定する。
POS2 は含まない。 POS2 が省略されたら 行 末 ま で。
フィールドと文字位置はそれぞれ 0 から数えはじめる。
-k POS1[,POS2]
ソートフィールド指定の POSIX 形式。今後はこちらが推
奨 される。行の POS1 から POS2 までのフィールドを指
定する。 POS2 を含む。 POS2 が省略されたら 行 末 ま
で。フィールドと文字位置はそれぞれ 0 から数えはじめ
る。
-o OUTFILE
出力先を標準出力から OUTFILE に変更す る。 OUTFILE
が 入力ファイルのどれかひとつだった場合、 sort はそ
の入力ファイルを一時ファイルにコピーしてから、 ソー
トと OUTFILE への出力を行う。
-t SEPARATOR
各 行 からソートキーを検索する際、文字 SEPARATOR を
フィールドのセパレーターにする。デフォル ト で は、
フィー ルドは空白以外の文字と空白文字の間の空文字列
(empty string) によって分離される。例えば入力行とし
て ` foo bar' が与えられた場合、 sort はこの行を
フィールド ` foo' と ` bar' に分離する。フィール ド
セ パレーターは、その前後のフィールドには含まれない
ものとされる。
-u デフォルトの動作と -m オプションの動作では、等し い
と された行のうちの最初のものだけを表示する。 -c オ
プションの動作では、連続した行で等しいものがない か
どうかをチェックする。
-z
-T TEMPDIR
TEMPDIR を一時ファイルを置くディレクトリにする。こ
のオプションは環境変数 TMPDIR より優先される。
--help 標準出力に使用方法のメッセージを出力して正常終了 す
る。
--version
標準出力にバージョン情報を出力して正常終了する。
例
o 数値的に降順 (逆順) にソートする。
sort -nr
o アルファベット順にソートし、第 1・第 2 フィールドは無視
する。キーに開始フィールドとなる 3 だけを指定すれば、各 行
末までが比較される。
sort -k3
o 第 2 フィールドで数値的にソートし、同じになったものを第
5 フィールドの第 3〜第 4 文字で更にソートする。フィール ド
の区切りとして `:' を用いる。
sort -t : -k 2,2n -k 5.3,5.4
`-k 2,2' の 代 わりに `-k 2' と指定すると、 sort は第 2
フィールドから行末までの全ての文字を、プライマリな「数値」
キーとして扱ってしまう。通常の用途では、1 つ以上のフィール
ドにまたがったキーを数値的に扱うと、望む結果は得られないだ
ろう。
`n' の指定が最初のキーの末尾で行われている点にも注意してほ
しい。これは `-k 2n,2' や `-k 2n,2n' としても効果は同じ で
あ る。 `b' 以外の全てのオプション指定は、開始フィールドに
置いてもキー指定全体の末尾に置いても、指定全体に効果を及ぼ
す。
o パスワードファイルを第 5 フィールドでソートし、先頭の空
白文字は無視する。第 5 フィールドが同じ値を持つ行は、第 3
フィールドのユーザー ID で数値的にソートする。
sort -t : -k 5b,5 -k 3,3n /etc/passwd
数値比較オプション -n はグローバルに用いても結果は同じ。
sort -t : -n -k 5b,5 -k 3,3 /etc/passwd
o 英大文字小文字の違いを無視してソートされた tags ファイル
を生成する。
find src -type f -print0 | sort -t / -z -f |
xargs -0 etags --append
この `-print0', `-z', `-0' は、改行 (line feed) 文字を含む
パス名がソート操作によって壊れないようにするためのものであ
る。
o 最後の例。フィールドの先頭・末尾の空白群を無視するには、
第 1 キーの末尾フィールド指定もして、 `b' オプションを使え
ばよい。
sort -t : -n -k 5b,5b -k 3,3 /etc/passwd
あるいはグローバルな指定を -n の代わりに -b にして、 第 2
キーのオプションに `n' を追加するかたちでもよい。
sort -t : -b -k 5,5 -k 3,3n /etc/passwd
移植性
sort の歴史的な (BSD と System V の) 実装では、いくつかの
オプション (特に -b, -f, -n) の解釈が異なる。 POSIX に従え
ば、-n はもはや -b を暗黙のうちに指定することはない。この
あたりを首尾一貫させるため、 -M も同様に変更されている。こ
れによって、曖昧な指定ではフィールド内の文字位置の指定の意
味が変わってしまうかもしれない。唯一の解決法は、 -b を明示
的に指定することである。
ロケール
LC_COLLATE
(特に他の指定がない限り) 全ての比較で用いられる文字
の照合順序を指定する。
LC_CTYPE
-b, -d, -f, -i といった出力順序オプションの動作に影
響する。
LC_NUMERIC
基数文字と桁区切り文字 (, など) を指定する。
LC_TIME
月名のスペルを決める。 -M に影響する。
注意
プ ログラムのバグについては bug-textutils@gnu.org に報告し
てください。
man ページは Ragnar Hojland Espinosa
が作成しました。
GNU textutils 2.0 15 August 1999 SORT(1)