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GNUのsh-fileutils付属のmvコマンドのマニュアル。
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MV(1) MV(1)
名前
mv - ファイルを移動する (ファイル名を変更する)
書式
mv [オプション...] source target
mv [オプション...] source... target
POSIX オプション: [-fi]
GNU オプション (簡略形式): [-bfiuv] [-S suffix] [-V {num-
bered,existing,simple}] [--help] [--version] [--]
説明
mv はファイル・ディレクトリの移動・名前変更をする。
最後の引数がすでに存在しているディレクトリならば、 mv は指
定 し たファイルを同じ名前でそのディレクトリに移動する。一
方、2 つのファイルしか指定されない場合、 1 番目のファイ ル
名 を 2 番目のファイル名に変更する。最後の引数がディレクト
リでなく、 3 つ以上のファイルが指定するされた場合はエ ラー
となる。
し た がって `mv /a/x/y /b' とすると、 /b がすでに存在する
ディレクトリの場合は /a/x/y を /b/y という名前に変更する。
また、/b が存在しない場合は /b という名前に変更する。
指 定されたファイルが移動させられる先のファイルを destina-
tion とよぶことにする。 destination がすでに存在し、 か つ
-i オプションが指定された場合、または destination が書き込
み不可で、標準入力が端末であり、かつ -f オプションが指定さ
れていない場合、 mv はユーザーにファイルを置き換えてよいか
を問い合わせる。問い合わせは標準エラーに書き出され、返答は
標準入力から読み込まれる。返答が置き換えを肯定していないも
のなら、そのファイルは移動させない。
source と destination の両方が同じファイルシステム上にある
場 合、その 2 つのファイルは同一のファイルである (名前が変
更されただけあり、所有者・許可モード・タイムスタンプは変更
されずに保存される)。 2 つのファイルが異なるファイルシステ
ム上にある場合、元ファイルはコピーされた後で削除される。可
能 であれば、 mv は修正時刻・アクセス時刻・ユーザー ID・グ
ループ ID・許可モードをコピーする。ユーザー ID やグルー プ
ID のコピーに失敗した場合は、それぞれ setuid ビットと set-
gid ビットをクリアする。
POSIX オプション
-f 上書きの確認の問い合わせしない。
-i destination がすでに存在する場合、上書きの確認の 問
い 合 わせをする。 (-f と -i が両方とも指定された場
合、後から指定された方のオプションが有効になる。)
GNU オプション
-f, --force
移動先に存在する既存のファイルを削除する。その 際、
ファイル削除の可否をユーザーに問い合わせない。
-i, --interactive
移 動先に存在するファイルを上書きするかを問い合わせ
てくる。返答が `y' または `Y' で始まってい な い 場
合、そのファイルは移動しない。
-u, --update
ディ レクトリ以外のファイルの移動で、移動先ファイル
が既に存在し、その修正時刻が移動元と同じかより新 し
い場合、移動を行わない。
-v, --verbose
移動する前にそれぞれのファイル名を出力する。
GNU バックアップオプション
GNU 版のプログラム cp, mv, ln, install, patch は、上書き・
修正・削除といった場合に、指示すればファイルのバックアップ
を作成する。バックアップファイルを必要とする場合は -b オプ
ションで指定する。どのような名前にするかは -V オプションで
指定する。バックアップファイルの名前を、ファイル名に拡張子
を追加する形で与えるようにしたい場合、この拡張子を -S オプ
ションで指示する。
-b, --backup
上 書 き もしくは削除の必要がある場合にはファイルの
バックアップを作成する。
-S SUFFIX, --suffix=SUFFIX
SUFFIX をバックアップファイルそれぞれに付け加える。
このオプションが指定されていない場合、環境変数 SIM-
PLE_BACKUP_SUFFIX に設定されている値が使 わ れ る。
SIMPLE_BACKUP_SUFFIX が設定されていない場合のデフォ
ルトは `~' である。
-V METHOD, --version-control=METHOD
バックアップファイルの命名方法を指定する。 引 き 数
METHOD として、`numbered' (または `t')、`existing'
(または `nil')、 `never' (または `simple') を指定で
き る。このオプションが指定されていない場合、環境変
数 VERSION_CONTROL の値が使われる。 VERSION_CONTROL
が 設定されていない場合のデフォルトは `existing' で
ある。
このオプションは Emacs 変数の `version-control' に
対 応している。有効な METHOD は以下の通り。 (他と重
複しない短縮形が使える):
t, numbered
常に番号の拡張子を持つバックアップが作 ら れ
る。
nil, existing
番号の拡張子を持つバックアップがすでにある場
合には番号の拡張子を持つバックアップを、そう
でない場合には単純なバックアップを作成する。
never, simple
常に単純なバックアップが作られる。
GNU 標準オプション
--help 標準出力に使用方法のメッセージを出力して正常終了 す
る。
--version
標準出力にバージョン情報を出力して正常終了する。
-- オプションリストを終了する。
環境変数
変 数 LANG, LC_ALL, LC_COLLATE, LC_CTYPE, LC_MESSAGES が通
常の意味を持つ。 GNU 版では、変数 SIMPLE_BACKUP_SUFFIX と
VERSION_CONTROL がバックアップファイルの命名法を上で説明し
た方法で管理する。
準拠
POSIX 1003.2 に準拠するが、ファイルシステムを越えてディ レ
クトリ階層を移動することはできない。
注意
こ のページでは fileutils-4.0 パッケージでの mv コマンドに
ついて説明している。その他のバージョンでは少し違いがあるか
もしれない。修正や追加は aeb@cwi.nl, aw@mail1.bet1.puv.fi,
ragnar@macula.net 宛にメイルしてください。プログラムのバグ
については bug-fileutils@gnu.org へ報告してください。
GNU fileutils 4.0 17 November 1998 MV(1)